4.○○年 山口

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 やっと義妹から『妻』になる。  妻の美月が逝ってしまって、十三年。  もう、いいだろう。姉の次に迎えた妻が、妹でも。  誰がなんと言おうとも、もう揺るがない。    山口の家に来た日は、山口周辺の仕事を入れるようにしている。  またこの付近にあるグループの事業を見回るようにしていた。  契約先との会議や、打ち合わせ。観光協会の会合。わりと忙しい。山口の家と豊浦の本家を行き来するのが大変なように思えて、山口で休める家があるのは実は良い中継地点でもあって、あちこち営業に廻る副社長にはいい拠点にもなっていた。 「今日は銀行の担当者と会って、その後、湯田の料亭旅館支配人と秋の懐石フェアのミーティングで……」  花南に予定を告げる。そして、夜はまたここに帰ってくると教える。 「うん、わかったよ。今夜はなにが食べたい?」 「うーん、そうだなあ」  花南が『これが九月のネクタイよ』と並べてくれたものから、ひとつ、手にとってワイシャツの衿に通す。  義妹が作るお気に入りのものを思い浮かべていたら、あまりにも迷いすぎたのか、ネクタイを結び終わってしまった。  花南も一生懸命、考えている。
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