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「つくってあげるよ。これから、ずっと。お兄さんだって、ずっとわたしのご飯を食べてよ」
「ああ。そのつもりだ。今夜も楽しみに帰ってくるからな」
優しく耳元にキスをすると、申し訳なさそうだった顔が可愛らしく笑って、耀平の胸に抱きついてきた。そうして頬までくっつけて、花南は離してくれなくなった。
本当にこんな素直に愛してくれて。花南の黒髪を撫で、もう職人姿になっている彼女を静かに抱き寄せる。
天の邪鬼で素っ気ない義妹だったのに。可愛い奥さんになってくれそうで、もうそれだけで充分だった。
そんな妻になる義妹の頭に、耀平も頬を寄せる。今日の義妹の花の匂いが、今日は薄い。
「また、身体を洗わないでガラスを吹くつもりだな」
「うん。いまね……」
可愛らしい奥さんになるだろうと思わせていた花南の顔つきが、急に妖しくなる。
「蝶を追いかけているの」
「蝶……?」
義兄に可愛がられていた女が、急に色めいた目つきで、耀平の唇を細い指先で撫でた。
「噛んで、兄さん」
は……? また、そういう顔で、俺になにをさせる?
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