4.○○年 山口

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「つくってあげるよ。これから、ずっと。お兄さんだって、ずっとわたしのご飯を食べてよ」 「ああ。そのつもりだ。今夜も楽しみに帰ってくるからな」  優しく耳元にキスをすると、申し訳なさそうだった顔が可愛らしく笑って、耀平の胸に抱きついてきた。そうして頬までくっつけて、花南は離してくれなくなった。  本当にこんな素直に愛してくれて。花南の黒髪を撫で、もう職人姿になっている彼女を静かに抱き寄せる。  天の邪鬼で素っ気ない義妹だったのに。可愛い奥さんになってくれそうで、もうそれだけで充分だった。  そんな妻になる義妹の頭に、耀平も頬を寄せる。今日の義妹の花の匂いが、今日は薄い。 「また、身体を洗わないでガラスを吹くつもりだな」 「うん。いまね……」  可愛らしい奥さんになるだろうと思わせていた花南の顔つきが、急に妖しくなる。 「蝶を追いかけているの」 「蝶……?」  義兄に可愛がられていた女が、急に色めいた目つきで、耀平の唇を細い指先で撫でた。 「噛んで、兄さん」  は……? また、そういう顔で、俺になにをさせる?
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