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二度とそんなことはさせるものかと、耀平の手元に置いたら、厳しく躾ようと思っていた。
俺のものにする。もう他の男には触らせない。
そんな気持ちが芽生えたのも、花南が小樽で修行をしている時だった。
―◆・◆・◆・◆・◆―
小樽へと行ってしまった花南は、それから一度も実家には帰ってこない。
××年 小樽――。
小樽の親方から、連絡があった。
花南の両親ではなく、義兄の耀平宛に。
『いつもお買いあげ、ありがとうございます。先日もこちらの商品を、再度ご注文くださって有り難うございました』
御礼の電話だった。
義妹がどんな工房に勤めているのか把握しておこうと、こちらが出品しているものをネットで少しだけ取り寄せたら、それがとても良いものだった。
それをホテルの接客用に少しばかりまとめて注文したら、料理長にも使い勝手も良く見栄えも良いと気に入ってもらえた。それからちょくちょく追加注文をさせてもらった。
だが親方には『義妹のためでもなんともなく、ほんとうに良いものを作られていて欲しくなった。料理長も、父親の倉重社長も気に入っている』と告げている。
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