同期のアイツ

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. 「俺らもうすぐアラサーだし、地に足のついた恋愛しろよ。アイドルなんか追っかけても虚しいだけだろ?」 「虚しくないよ!むしろ、毎日が楽しくて仕方ないよ!」 ソジュンに出逢う前の、何の楽しみもなく平凡な日々を過ごしていた自分。 例え彼氏がいなくても、推しにときめきを感じながら楽しく日々を過ごしている今。 間違いなく、幸せなのは後者だ。 「……つまりは、お前は貢ぐのが好きなんだな。」 「私の給料、何に使おうが私の勝手でしょ。」 「ハイタッチするのに、同じCD4枚買わせるってさ。一瞬の為に、必死じゃね?」 「2部制×2日間だから、全部で16枚だよ。」 「は、馬鹿じゃねーの!?」 今年の初めに行われたファンイベント。 公演の後でメンバーとハイタッチができる特典付きのCD4枚セットを、迷うことなく購入した私。 あの日は、服装からメイク、ネイルまで完璧に仕上げて参加した。 一瞬でも、尊い推しに触れられることは、お金には代えられない至福の瞬間だ。 「いいじゃん。趣味の中でくらい、夢見させてよ……。」 「ま、別に悪いとは思ってねーけど。お前、楽しそうだし。」 喜志にも、素敵な推しが見つかれば、この楽しさを分かち合えるのにな……。 まあ、今はアイドル並みに可愛い、新葉ちゃんがいるから必要ないか。 .
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