ソウルの夜

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. 小学生の頃、遠足の前日にわくわくして眠れなかったことは一度もなかったくせに、この歳になって初めて、その感覚を知った。 微睡の中で見た夢では、WINのソウルコン真っ最中で、最前列という神席から、私は声を張り上げてソジュンを応援している……が。 よく見ると、それはソジュンではなく喜志。 喜志が何故か舞台から「アニョハセヨ~」と、胡散臭い微笑みで手を振っている。 それに向かって、黄色い声を上げる絢音さん。 いや、なんでやねん。 そんなツッコミどころ満載の夢のせいで、浅い眠りから目覚めたのは、ちょうど目覚ましが鳴る1分前。 これはまた、絶妙なタイミングだ。 支度をしながら、飲むゼリーと林檎を半切れ口にして、ちらりと時計を気にする。 朝8時に羽田の国際線ターミナルに集合だから、まだ余裕だ。 林檎、もう半切れ食べちゃおう。 ついに念願の渡韓かぁ……。 ソウルコン、楽しみだなぁ……。 絢音さんがチケッティングに成功したのは1日目のチケットだけれども、2日目も朝からグッズやらペンカフェの無料配布やらに参加するつもりなので、ほぼ2日間、ライブ会場周辺が拠点になる。 時間が空いたところで多少の観光はするつもりだし、宿泊するホテルのあるトンデムンなどの繁華街は夜中まで店が開いているので、絢音さんと一緒にナイトショッピングに繰り出す予定。 3日間、思う存分にソウルを満喫するのだ!! .
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