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「直紀さんって、ソウル行ったことある?」
「3、4回くらいかな。明日の夜、向こうの友達と会う約束してるんだよ。」
「お友達って、韓国の人?」
「そうそう。ちょうどソウルにいるからって……ジュノっていうんだけど、面白い奴でさ。WINのことを教えてくれたのもジュノだよ。」
ジュノ……いい人。
WINのこと、人気あるって言ってくれたし。
会ったこともないのに、勝手に親近感が沸いてくる。
「衣咲は、ソウル初めてだっけ?」
「韓国自体が初めてだよ。だから、直紀さんが来るって聞いて、心強いなって思ったよ。」
「迷惑じゃなかった?」
「全然迷惑じゃないよ!むしろこちらこそ、巻き込んでスイマセンって感じだし。」
私が必死にそう訴えると、直紀さんは優しく微笑んでくれる。
不思議だな……。
付き合っている時よりもずっと、彼との距離感が居心地良い。
「そう?なら良かったけど。」
「……気、遣いすぎだよ。」
「お互いにな。」
その言葉に目が合うと、自然と笑みが零れてしまう。
流れる時間が、穏やかで温かくて。
まるで、心が浄化されるみたい……。
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