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そんな私の心配をよそに、喜志たちが私たちと合流したのは、搭乗の案内が始まる頃。
私たちの姿を見つけると、手を振りながら近づいてくる。
その後ろには、メデューサ逢沢の姿。
目のやり場に困るくらいのミニスカートからは、細くて綺麗な生足。
いや……この時期のソウル、なめちゃいかんぜよ。
夜は寒いぜよ、なんて。
思わず、龍馬さんが登場しちゃったよ。
「あー、来たね。ギリギリじゃん。」
「俺は時間を無駄にしない男ですから。」
「ほう。その言葉、仕事中に聞いてみたいもんだよ。ねえ、衣咲ちゃん。」
絢音さんが、自然に会話を振ってくれる。
話しかけるタイミングを見計らっていたから、とても助かった。
喜志が、いつもの笑顔で「おはよう」と言ってくる。
「……来ないかと思ったよ。」
「そんなわけないだろ。海外旅行のドタキャンは、流石に人として有り得ない。」
「だって喜志だし。」
「朝から失礼極まりないな、お前は。」
可愛くなれないのは毎度のこと。
でも、これが私らしい接し方だから、無理する必要なんてないのかもしれない。
今日は、余計にそう思う……。
喜志の隣で、敵意に満ちた目をした彼女のせいで。
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