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「昂大くん、新葉が何度も起こしているのに起きてくれなからぁ。」
「聞こえなかったんだよ。」
「嘘だぁ。そんなこと言って、朝から……」
「コラ。他の人の前で、言うことじゃないだろ。」
朝から、なんなんだよ。
人前で言えないようなこと、朝っぱらからしてんじゃねーよ。
多分、隣にいる絢音さんも、同じことを考えていたに違いない。
「昂大くん、まだ寝癖ついてる。」
「ん、そうか?」
「そうだよ。玄関に置いてあった帽子、持ってくればよかったね。」
逢沢さんの、彼の家から一緒に来ましたアピールが激しい。
みんなに聞いて欲しいみたいな言いぶりだけれど、それは自分の彼氏には手を出すなという、牽制のつもりなのかもしれない。
「衣咲ちゃん。」
「はい?」
「とりあえず、あの女……しばいてもいい?」
「……いや、今は駄目です。公共の場ですから。」
逢沢さんに対して、明らかな苛立ちを見せる絢音さん。
あの好戦的な態度は、未だ変わらず。
私よりも先に、絢音さんが爆発しそうで心配だ……。
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