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二人とは距離を置きながら、を意識しながらゲート入場ために作られた列に並ぶ。
でも、無意識のうちに視線は喜志のことを探して……って、あれ?
喜志の姿が何処にもないような……。
「おい。」
「ひゃっ!?」
「いや、驚きすぎ。」
知らぬうちに、真後ろにいた喜志。
耳元で急に話しかけられて、心臓が口から飛び出しそうになった。
傍にいるなら、いるって言ってよ……。
しかし、彼の隣に、べったり甘える彼女の姿が見当たらない。
「……逢沢さんは?」
「飲み物買ってくるって。」
そういって指さす方向では、カフェでテイクアウトの注文をしている彼女がいる。
若くてイケメンチックな男性店員さんと、楽しそうに何かを話している。
それに対して、喜志は気にも留めていない様子。
寧ろ彼は、じっと私の方を見つめてくる。
「お前……平気か?」
「何が?」
もしかして、逢沢さんのことかな?
私と彼女の間にある、冷戦のような緊迫した空気感に気づいたのだろうか。
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