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「土岐田さん、一緒で。」
「へ?平気だよ、この間も二人で食事したし。」
「二人で食事?いつの話だよ?」
「……喜志と、喧嘩して口聞いていなかった時。」
一応、心配してくれているのかな?
直紀さんとは、昔よりも良好な関係を築けている。
彼には絶対に嫌われたくない、だから必死になって取り繕っていた部分が大きかった。
それが無くなったのが要因なのだろう。
「だから、直紀さんのことは心配しなくて大丈夫。それよりも、私は……」
私は、逢沢さんのことが心配。
大丈夫だと思っていたんだけどな……。
予想以上の彼女の立ち位置マウンティング。
空気を読まず、見せつけのようなイチャイチャ。
冷静に受け流せると思っていたのに、意外と……胸が痛い。
喜志が時折、逢沢さんに向ける優しい笑顔に、早くも胸が痛くて目を逸らしてしまう。
「それよりも、何だよ?」
「……絢音さんと逢沢さんが、性格合わなすぎて心配かな。」
「あー成程。なるべく、あいつは小森さんに近づけないようにするよ。だから心配すんな。」
私の適当な誤魔化しを真に受けながら、喜志は気丈に微笑んでみせる。
俺に任しとけ、と言わんばかりに。
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