ソウルの夜

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*** 無事に空港に到着し、入国審査に向かう途中に見かけた化粧品の宣伝の掲示板。 何かの韓流ドラマで見たことあるような色白美人の韓国の女優さんが、私たちの到着を出迎えてくれている。 あっ、あっちには確か俳優の…… 「ソウルだ!韓国語だ!スゲー!!」 私と同じくらい興奮気味なのは、韓流好きの亮太くんだ。 彼もこれが初渡韓なので仲間意識が芽生える。 韓国に住んでいた直紀さん、何度もソウルに来ている絢音さんは、私たちから比べたら神格レベルだ。 「あー、この匂い……ついに来たって感じだわ。」 絢音さんが満足気に、大きく深呼吸をしている。 まさに森林浴のように、五感で味わうってやつだな。 流石、神格レベルは、やることが違うわ。 私も、ソジュンの愛する母国の空気を身体中に吸収しておかなければ。 トラムを乗り継いで案内図に従って、漸くたどり着いた入国審査場。 初めての経験に緊張してしまう。 落ち着け、私……。 ソジュンに会うために、乗り越えなければならない第一関門だ。 「……挙動不審で、奥の部屋に連れて行かれるなよ。」 「奥の部屋って何!?」 「知らねーよ。そういうの、あるんじゃないの?」 「嫌なこと言わないでよぉ……。」 後ろから、不意に話しかけてきた喜志の言葉に、情けなくも不安が込み上げてくる。 そんな私の頭を、そっと優しく撫でてくれる。 反則技、急に入れてこないでよ……。 .
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