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「大丈夫だって。気が向いたら、助けてやるからさ。」
「……気が向かなくても、助けてよ。」
私たちの会話を、近くで聞いている逢沢さんの、冷たい視線が突き刺さる。
波風立てずに三日間を過ごしたいのに、こんな些細なやりとりにさえ、胸が震えてしまうの。
「ほら、空いたぞ。行けよ。」
「う……うん。」
背中を押されて、職員に手招きされたカウンターへと向かう。
パスポート……。
指紋認証……あ、日本語で説明してくれるんだ。
これは楽勝だな。
私の心配とは裏腹に、すんなりと終了した入国審査。
手荷物をピックアップして到着ロビーに出ると、そこは憧れの地……ソウルだ。
「衣咲さん、ついにこの地に立てましたね。」
「そうだね……ついにだよ、亮太くん。」
韓国のコンビニに、韓国のファーストフード。
韓国のドラッグストア……感激!!
まるで新大陸を発見した冒険家のように、二人で大興奮しながら辺りを見回す。
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