ソウルの夜

18/51
前へ
/308ページ
次へ
. フォトブックを目指してグッズ売り場を探していると、それらしい仮設テントがあった。 想像していたよりも周囲に人が疎らで、ホッと一安心したのも束の間……。 「うそやん……売り切れやん。」 「マジですか!?」 テント上部に掲げられていたグッズの一覧に、堂々と貼られた【SOLD OUT】の文字シール。 渋滞を乗り越えて二時間近くタクシーに揺られて、苦労してやってきたというのに。 愕然と膝を落として、言葉も出てこない。 こんなことなら、美味しい定食屋さんに行けばよかった!! あぁ……お腹空いた。 多分同じことを考えているであろう絢音さんが、溜息と共に恨み言を呟く。 「あのボリュームで2万ウォンやったら、そら完売するって。」 「もっと準備していて欲しいですよね。」 「きっと、日本か中国の転売ヤーが買い占めたんやわ。マジ滅びればいいねん。」 今夜あたり、フリマサイトでは呆れるくらいに金額を上乗せされて販売されているに違いない。 WINに直接貢献できるのであれば、対価は惜しまないけれど、WINの人気に便乗して荒稼ぎをする輩に払うお金は1円たりとも持ち合わせていない。 同じペンとして恥ずかしい限りだ。 本当、明日あたり滅びればいいのに。 .
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3230人が本棚に入れています
本棚に追加