3177人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
.
「……安心してください。実は……」
彼女の耳元で、そっと伝える。
それはまるで、内密なやりとりをしている、スパイ同士の会話に見えたに違いない。
「え!?当選したん!?」
「今年はついに当選してしまいました!!」
「え、マジで!?カウコンやで!?」
「そうですよ!!そして絢音さん、興奮しすぎて関西弁出ていますよ。」
関西出身の絢音さんは、興奮すると方言で話す癖がある。
絢音さんの営業成績が凄いのは、彼女のトーク力が強い武器なのだと思う。
「……おっと、失敬。脳内がお花畑になったわ。」
「絢音さん、勿論一緒に行けますよね!?」
「行く~!!衣咲ちゃん、神!!」
私と絢音さんは、韓流アイドルグループ「WIN」をこよなく愛する仲間。
この世界、新参者だった私に色々と伝授してくれた、尊敬すべき人生の先輩だ。
職場では部署も違うので直接的な関りはなく、私達が実はこんなにも仲が良いということは、あまり知られていないのだけれど。
.
最初のコメントを投稿しよう!