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「これで今からさくら工業との商談頑張れるわ!」
「めちゃくちゃ大手じゃないですか!?」
「まあね。この商談が決まったら、ヨンギュの特注の等身大クッション、御褒美に買うんだ。」
「マジっすか!?いいなぁ……毎日、ヨンギュと添い寝できますね。」
推しとの幸せな生活。
想像するだけで、頬が緩んでしまう。
そうだ……。
今夜はビールでも飲みながら、去年のカウコンのDVDを鑑賞しよう。
「じゃあ、また!カウコンのことは、また今夜ラインするね。」
完全に復活を遂げた絢音さんは、鼻唄を歌いながらご機嫌な様子でエレベーターに乗り込む。
鼻唄はもちろん、WINの曲。
しかもデビュー曲を選ぶあたり、流石だなって思う。
手を振りながら彼女を見送り終えると、後ろから呼びかけられる。
「衣咲!」
「あ、喜志……どうしたの?」
この男は、同期でタメの喜志昂大。
ちなみに営業部所属で、絢音さんの後輩にあたる。
「小森さん見なかった?」
「絢音さんなら、スキップしながら商談に向かったけど。」
「マジ?さっきまで死にそうな顔してたのに……」
「まあ、WINのカウコン当選しちゃったからね。スキップもしたくなるよ。」
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