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私と喜志は、新入社員の研修でペアを組んで以来、何故か仲良くなって今に至る。
あんな言い方をしても、私はきちんと指定されたカフェで待っているし、喜志も必ず来てくれる。
長年連れ添った友人のような、気兼ねのない関係。
「衣咲、待った?」
「ん、別に。」
「いつもの鶏屋でいいよな?」
「うん、いいね。」
駅前の、行きつけの鶏料理の店。
せせりの塩焼きが絶品。
まずは焼き鳥と生ビールを注文して、一応「チケット獲得おめでとう」の乾杯付き。
この喜びだけで、ビール5杯はイケるな……。
「……それでさ、絢音さんは落選しちゃって。私は無事に2枚ゲットできて。カウコン行くの、夢だったんだから。」
「カウコンって……カウントダウンだよな?まだ5月だけど。」
「そうだよ。来月からは別タイトルのツアーがあって、それも遠征するんだ。
もうすぐチケット届くから、マジ緊張する……。」
私のこんな話に、喜志はいつも面倒くさそうにしながらも付き合ってくれる。
もしかして、気になる推しでも出来たのだろうか……。
って、それはないな。
頻りに誰かとラインのやり取りをしている。
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