わたしが泣いた理由はブラウン管の向こう側

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あくる日、わたしは昨夜見たブラウン管の向こう側の彼の事で頭の中がいっぱいになっていた。 あの時の彼の気持ち。 あの時を迎えるまでの彼の時間。 何があって、どんな日々を過ごしていたのだろうかと。 自分なりに想像し、彼を動かし、彼の台詞を考え、共感し、絶望に暮れていた。 どうせなら、ハッピーなことを考えたい。 と思うのに、どうにもこうにもそちらのシーンを思い描くことができずに、彼に申し訳ない気持ちになる。 仕方がないから、もしもーーーを考えていた。 もしも、状況がこうだったら。 もしも、こんな展開があったなら。 過去まで遡って考え始めた頃、空が暗くなり、時に光り、ヒビ割れそうな音を地に叩きつけていた。 雨が強く降り始め、窓ガラスを叩く。 彼を思い出す。 彼を思い出すと、この雨がガラスを叩き割るんじゃないかと心配になってくる。 荒れている。嵐のように。 ブラウン管の向こう側にいた彼の事を思うと、心が嵐のように荒れる。
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