朱に交われば赤くなる3.5―Misaki Tsuyama―

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 突然距離を詰めた俺に、彼女は目を瞬かせた。 「うん。ちょっと、冷やした方がいいかなあと思って」 「でも、さっき自分でやってって……」 「あはは。それはそれ、これはこれ」  彼女に手を伸ばして、さっきよりも近くで目が合う。  白くて滑らかそうな肌だ。頬はほんのりとピンク色で、小さい唇が愛らしい。  特別美人というわけでも、可愛いというわけでもない。自分でも、なぜあそこまで惹き込まれたのか分からなかった。 「白さんさ」 「うん?」 「玄と友達って、前に言ってたよね」  彼女が静かに頷く。  横髪がふわりと揺れて、香るはずもない匂いがしそうだった。  白さんは髪を下の方で二つに括っていて、その毛先を根元で止めている。ヒツジヘア、というらしい。  彼女の下の名前が「羊」であるのとかけて、クラスのみんなは密かに「ヒツジちゃん」と呼んでいたりする。 「あんまり玄の言うこと鵜呑みにしない方がいいよ。ほら、白さん真面目だから」
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