魚心あれば水心1

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 無情にも告げられたその言葉に、私はとうとう頭を垂れた。  狼谷、というのはさっき決まったばかりの、男子の文化委員。  彼と一緒だというのもあって、私は心底落ち込んでいた。 「許せ羊! こればかりは私も代わってやれない!」 「うん……じゃんけん練習しておく……」  がしりと私の両肩を掴んだあかりちゃんに、力なく返答する。  教室の一番後ろの窓側。  頬杖をついて退屈そうに外の景色を眺めている狼谷くんは、果たして自分が文化委員になったと分かっているんだろうか。  彼の様子を観察していると、その横顔がふと動いた。  ――あ。  面白いくらいしっかりと目が合って、私は反射的に顔ごと逸らす。  やましいことは何もないのに、心臓が早鐘を打っていた。  びっくりしたー……。  盗み見ていたのがバレてちょっとだけ気まずいというか、申し訳ない。 「今日の放課後、最初の委員会がある。各自教室を確認して参加するように」  普段は早く放課後になれと思うのに、それが例外になるのは今日が初めてだった。
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