朱に交われば赤くなる2

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 こないだの優しい笑い方とも、幼いえくぼの覗かせ方とも違う。  ちょっとだけ揶揄うような意地の悪いそれに、私は口を尖らせた。 「見てないよ」 「嘘だ」 「嘘じゃないもん」  何だかよく分からないけれど、今は意地を張りたい気分だ。 「……下手くそ」 「え?」 「羊ちゃん、嘘つくの下手だね。目ぇ泳いでるよ」  指摘されると逃げ場がない。  私は「うーん」とわざとらしく仰け反って、降参することにした。 「バレちゃった?」  へへ、と私が間を持たせるためにだらしなく笑うと、狼谷くんはほんの少しだけ眉尻を下げる。 「頑張ってたね。ドリブル綺麗だなあって、目で追いかけちゃったよ」 「ドリブル?」  シュートじゃなくて? と聞こえてきそうな返事だ。  不思議そうな顔で瞬きをする彼に、私は頷く。 「離したボールが地面に跳ね返る時ね、狼谷くんの手に吸い付いて戻るように見えるの。ぽんぽん、じゃなくて、ふわふわ、っていうか」
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