朱に交われば赤くなる2

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 なぞなぞみたいな彼の言葉に、脳内ではてなマークが量産されていく。  狼谷くんはその横顔に影を宿すと、手を組んで言った。 「誰も俺のことなんか見てないよ」  小学生も中学生もいない、遊具だけが取り残された公園。  狼谷くんの声がよく響く。  道端のダンボール箱に捨てられた子犬を見かけてしまった時、こんな気持ちになるんだろうか。  きつく握られた彼の手を溶かすように、私は自分の手を重ねた。 「私が見てるよ」  彼の周りにだけ雨が降っている。  いま傘を差し出せるのは私だけで、そうしなければいけないと思った。 「……本当に?」  酷く不安そうに聞いてくる狼谷くんに、私はすっかり俯いてしまった彼の顔を覗き込む。 「うん。本当に」  ゆらゆらと彼の瞳が揺れている。 「……じゃあ、さ。羊ちゃんは、ちゃんと見てくれるの?」  真っ直ぐな視線が私を射抜いた。  まるで縋るようなそれに、体が震える。 「俺のこと、ちゃんと見て、褒めてくれるの? だめな時はだめって、叱ってくれるの?」
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