朱に交われば赤くなる2

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 言ったそばから恥ずかしくて、顔から火が出るかと思った。  頬が熱くて、辺りが薄暗くて助かったな、と安堵する。 「これからも?」 「う、うん」 「これからも、ずっと?」  念押しをされて、きっとこれも言わないと終わらないんだろうなと悟った。 「これからも、ずっと……狼谷くんのこと、見てるよ」  語尾が震える。  もう何が何だかさっぱりだ。  視界がぼやけて、初めて羞恥で涙が溢れそうになった。 「……ん」  狼谷くんが心底満足そうに微笑む。  ふやけたような笑顔に、ぎゅ、と心臓の奥が縮んだ。 「羊ちゃん、泣かないで」  まだ零れてないから、セーフだと思う。  唇を食いしばって、気持ちを落ち着けようと深呼吸をする。  そんな私を弄ぶように、狼谷くんはもう一度私の手を撫でた。 「ひゃっ……」  ちょっとくすぐったい。  びっくり半分、抵抗半分で彼へ視線を投げる。  狼谷くんはすうっと目を細めて、頬を緩めた。 「――言質、取ったよ?」  喉の奥で悲鳴を上げる。  逃げなきゃ、と腰を上げた私の手を、狼谷くんは案外容易く手放した。 「え、えと、バス来ちゃうから行くね! また明日!」  早口でまくし立てて走り出す。  途中、魔が差して振り返った時に見た彼の瞳は、夜闇のように暗く光っていた。
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