朱に交われば赤くなる3

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 私の声が、雑音の中を割っていった。  瞬間、狼谷くんはこちらを見て、それからすぐに視線を前に戻した。  彼の手からボールが放たれる。  飛んで、飛んで、――輪をくぐった。 「しゃ――――っ!」  誰ともなしに歓声が上がって、試合終了のホイッスルが鳴る。 「玄! まじナイッシュー!」  津山くんが狼谷くんの髪を掻き回しながら豪快に笑った。  狼谷くんは迷惑そうにそれを払い除けて、それから――  急に自分のしたことに実感がわいて、頬が火照った。  狼谷くんがこちらを向くのが分かったので、目が合う前に踵を返してその場を離れる。 「……羊があんなおっきい声出すの、初めて聞いた」 「うん……自分でもびっくりしてる……」  きょとーん、という効果音が正しいだろう。  目を見開いているカナちゃんに、私は俯いた。 「あはは、声出しばっちりだね。よし、私たちも張り切ってこー!」  九栗さんはそう言って、私の肩を軽く叩いた。
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