朱に交われば赤くなる3

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 狼谷くんの声が、そこで途切れる。 「あれ!? 白さん、何でこんなとこに?」  津山くんはドアを開けたまま奥に視線を向けていたからか、私には気付かなかったようだ。  質問に答えようにも、上手く言葉が出てこない。 「え、と……」  恐る恐る顔を上げて津山くんを見上げる。  結果的に盗み聞きしてしまった罪悪感と、羞恥と、情けなさで頭がごちゃごちゃだ。  ただでさえボールを顔面で受けてじんじん痛むのに、どうしてこんな精神攻撃を食らわなきゃいけないんだろう。  そういえば鼻血を止めるためにティッシュの栓もしたままだし、本当にみっともなさすぎる。 「あー……」  私の恥ずかしさが伝染したのか、津山くんは僅かに頬を赤らめて頭を掻いた。 「保冷剤ね。うん、ちゃんと冷やした方がいいよ。こっちおいで?」 「えっ、」  津山くんは手早く保冷剤を取り出すと、しゃがみ込む私の手を取って立ち上がらせる。 「岬」  保健室を立ち去ろうとした私たちに、後ろから狼谷くんの声が飛んできた。  怖いもの見たさで振り返ると、狼谷くんはとっくのとうにベッドから離れていて、視線はこちらにしっかりと向けられていた。 「邪魔して悪かったって! じゃ、ごゆっくり!」
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