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二時間ほどの筋トレを終えて帰り道。
今はユウト君と二人っきりである。
「どうでしたか?」
「うん、少しおばさんにはしんどかったかな」
「おばさんじゃないですよ! ただ初めてだったからしんどかっただけですよ」
「お世辞でも嬉しい」
「お、お世辞なんかじゃ……」
そう言うとユウト君が急に止まった。
私も足を止めて振り返る。
「どうかしたの?」
「そのお母さんは……おばさんなんかじゃないです!」
「なに? いきなりどうしたの?」
「その綺麗だと思います」
―ードクンっ!
その言葉に私の心臓は大きく跳ねた。
けど、息を吸って吐いて落ち着く。
「それはありがとう。それより帰ろう」
「は、はい」
その後は少し気まずくなって沈黙が流れる。
車の音、風の音、烏の声だけが聞こえ、空が茜色から闇色へ変わっていく。
数分、歩くと私はユウト君に声をかける。
「私はこっちだから。じゃあまたね、ユウト君」
「あ、はい。また……」
私が手を振ると、可愛く手を振って去って行った。
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