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過去からの
水の奥深く、夕陽に照らされて何かが光った。眩しさに僕は反射的に目を細める。
「何だよ?」
誰もいないダムで呟いいた。よく見てみるとそこには、ミラーやガードレールに道路標識もあった。
「なんでダムの中にこんなものがあるんだ?」
疑問に思って覗き込んで見ていると、17時のお知らせがなり始めた。
チャイムがなったら帰っこいと言われていることを思い出し、自転車に飛び乗り全力でペダルを漕いだ。
この夏僕は、この山奥にある村に引っ越してきた。夏休み中のの引越しで、友達もいないため1人お昼を食べたあとは自転車を走らせ村を散策している。
昨日は少し遠いダムまで行ったし、今日は反対にある図書館の にでも行こうか、とぼんやり考えながらまだ部屋の片隅にあるダンボールの箱を崩している。
午前中は家の事をやる代わりに、午後は出かけていいことになっている。ただし17時のお知らせが鳴ったら帰ってくることを言い渡されてる。
「行ってきます」
お昼ご飯を食べ終えた僕は自転車に飛び乗り、今日の目的地の図書館へ向かった。
図書館の場所は車で買い物行った時に教えて貰っているが、間違っていないか当たりをキョロキョロしながら進んでいる。
「学校がありゃ友達に案内してもらうのにな」
いつもなら終わって欲しくない夏休みも.今回6早く終わらないかと心待ちにしている。
道中ふと掲示板の張り紙が目に入った。そこには、古びた紙でダム建設反対!と大きく書かれていた。どういう事? と思いながら図書館へと進めていく。今までで気にならなかった、その貼り紙は同じような内容で至る所に貼られていた。内容はどれもダムの建設を反対するものだった。
疑問と恐怖を抱きつつ僕は図書館に到着した。そこにもまた、ダム反対の文字が書かれた張り紙があった。
僕は気になってしまった。昨日見たダムの下にあるガードレールやミラー、標識があったのか。なんでダム反対という紙が貼られているのか。 だから僕は少しここで何があったのか調べてみることにした。
僕は言葉を失った。調べなければ良かったとも思った。大昔とは言えるど前じゃない、2.30年くらい前と言ったところだろうか。この村はダムの下に沈んだらしい。
あの張り紙は住民の悲痛の叫びだったんだろう。今でも貼られているのがその証拠だ。自分が生まれ育った街をダムの底に沈むというのだから、何も無いわけが無い。色々あったんだろうと容易に想像がつく。
知りたいという気持ちと見たくないという怖さでこれ以上調べるか迷っていた時、17時のお知らせが流れた。僕は逃げるように本や新聞を返却してして家へ帰っていった。
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