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girl's side
>>>>>boy's side
わたしが付き合っている近藤清春くんは、とてもかっこいい男の人だ。
平たく言えばモテるし、本人も本人で、校庭で地面に半分埋まったタイヤをぴょんぴょん飛び移っていくみたいに、付き合う女を乗りかえてきたみたいだった。だから、わたしが清水の舞台というか、東京スカイツリーから飛び降りる気持ちで告白したのをすんなりと受け入れてくれたときは、本当に嬉しかった。社内で一目惚れしてから、ずっと横目で追ってきたのが、清春くんだったからだ。この国の元号が変わって久しいけれど、わたしにとってはあのタイミングが明らかに特異点、シンギュラリティの訪れと言っても差し支えない。わたしみたいな女が、こんなかっこいい人と付き合っていいんですか、ってずっと思っていた。そしてそれが「わたしだからこそ」なんだろうって思えるようになったのは、つい最近のことだ。
わたしも、過去に清春くんが社内で付き合っては捨ててきた女のことを何人か知っているけど、もしかしたら清春くんだって、本当はこれまでに付き合ってきたような化粧品のにおいしかしない尻軽女たちより、わたしのようなおとなしい女の子のことのほうが好みだったのだろう。もちろんそんな女は他にもいることは知っているけど、もうこの枠をわたしは未来永劫、誰にも譲るつもりはない。清春くんの隣にいるのはわたしだけでいいし、なんなら清春くんにはわたしだけいればいいはずだ。だって、清春くんだって、きっとそれくらいわたしのこと好きだもん。そうじゃなきゃ、好きって、付き合ってって言われてOKしたりしないもんね。
でも。
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