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離婚警報発令
「離婚警報発令」
それは突然の警報発令だった。
仕事を退職して三年が過ぎた、六十八になる年の秋口のことだった。
義昭は異変を察知したのか、いつもより早く目が覚めた。少し肌寒く、上着を羽織ってリビングに降りる。
いつもなら先に起きて「おはよう」と迎えてくれるはずの幸枝の姿がない。
おかしいな、まだ寝ているのだろうか。
子どもが家を出てからは夫婦は寝室を別にしていて、義昭は二階、幸枝は一階の和室で寝ていた。
和室を覗こうと体の向きを変えた時、ダイニングテーブルの上に一枚の紙を見付ける。
そこには赤のマジックでどんと、
「離婚警報発令」
と書いてあった。
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