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序章:壊れた冷凍庫で過ごす夏
八月某日、自宅の冷凍庫が閉まらないので、困っている。
ある日の朝、冷凍庫の扉が閉まっていないことに気づいた。その日は、昨夜閉め忘れたのだろう。そう思って、一度扉を閉めて、家を出た。それでも冷凍庫は閉まらずに、楽しみにしていたアイスも冷凍うどんも溶けてしまった。もったいないと思いながらも、渋々、食べられるものだけ細々と食べていった。どうやら、冷凍庫の扉の中にある磁石が、破損したか何かで、閉まらなくなってしまっているようだった。
うちの冷蔵庫は、冷凍室と冷蔵室の電源を別々に切ることが出来る。仕方なく、僕は冷凍庫電源を切って、冷蔵庫だけでの生活を始めた。この冷蔵庫は、アパートの備え付けで、大家のババアに相談しても、奴は金を渋るばかりで、空き部屋の冷蔵庫との交換や、修理などの話は引き出せないままだった。エアコンも無い、夏の暑さばかりのこの部屋で、冷凍庫が無い、アイスクリームも無いというのは、過酷なことだった。
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