山賊狩りの泣き女

1/10
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

山賊狩りの泣き女

 私は剣士をしている。  剣士、といってもそのような職業があるわけではないので、この表現はあまり正しくない。  私は剣で人を殺してお金を貰っている。もちろん合法の範囲内で。  だから職業としては、そう、賞金稼ぎなのだろう。  けれども問われれば私は剣士だと答える。何故だか知らないけれどそれが一番しっくりと馴染むのだ。  あるひとに言わせると、それが私の【生き様】だからなのだそうだ。  生き様というものは難しい。突き詰めれば自分で選んでいるのは確かだが、かといって自分の気持ちだけで決められるものでもない。私だって別に剣士になりたいと思ってなったわけではない。  ただ、すべきことを、すべきだろうと思ったことをして、そうやって生きていくための選択をしていたらいつの間にか、私は剣士になり、賞金稼ぎになっていた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!