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彼が帰って来た。仕事を早く切り上げて来てくれたのだろう、お昼を少し過ぎていた。
「麗、大丈夫?何がいいかわからないから麗の好きな物買って来た」
両手にパンパンの袋を抱えているのを見て可笑しくなった。
「何それ?そんなにバッカじゃないの?」
「麗の好きな物リスト見て買って来た。
後これ…。これはあのリストに書き忘れたかな?カリカリ梅、和食の時は必ず漬物に添えてるよね?好きなんでしょ?」
彼は悪戯っぽくわらった。
「下手だけどお粥作るね」
少しして話し声が聞こえた。多分お義母さんに電話をしているのだろう。
「えっ?出来るよ、大丈夫だよ作り方聞いただけだから!うん仲良くやってる、喧嘩?そりゃたまにはするよ、当たり前じゃんスタートしたばかりなんだから、少しの食い違いはまだあるさ」
彼は電話を切ったのか、ドタンバタンと音を立てながら頑張っているみたいだ。
私はその音を聞きながら、さっきの彼の言葉を思い返していた。スタートと言っていた。私はゴールしたのにってばかり、幸せのゴールが結婚で、結婚したら幸せになれると思ってた。
彼は細かいのは、これから始まる長い生活の為を考えてだったのかもと思えて来た。
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