龍を飼う

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「死んだ龍を焼いた灰だ」  当たり前のように彫り師はそう言った。  正確に言えば、以前龍を入れていた本体を焼いた灰。  血液は先ほど指先に針を刺して絞り出した俺の血。  不思議な感覚がした。  痛みと共に命が注ぎ込まれているような気がした。    三時間ほどで筋彫りが終わった。  鏡に移った血に(まみ)れた龍は躍動的で今にも動き出しそうだ。 「皮膚を休めなきゃだから一週間後においで」  家に帰っても鏡で何度も背中の龍を見た。  一週間後に今度は色を入れてもらった。  もちろん灰と血を使った。  一番最後に目を描き終わった瞬間、俺の背中に鼓動を感じた。
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