2人が本棚に入れています
本棚に追加
「死んだ龍を焼いた灰だ」
当たり前のように彫り師はそう言った。
正確に言えば、以前龍を入れていた本体を焼いた灰。
血液は先ほど指先に針を刺して絞り出した俺の血。
不思議な感覚がした。
痛みと共に命が注ぎ込まれているような気がした。
三時間ほどで筋彫りが終わった。
鏡に移った血に塗れた龍は躍動的で今にも動き出しそうだ。
「皮膚を休めなきゃだから一週間後においで」
家に帰っても鏡で何度も背中の龍を見た。
一週間後に今度は色を入れてもらった。
もちろん灰と血を使った。
一番最後に目を描き終わった瞬間、俺の背中に鼓動を感じた。
最初のコメントを投稿しよう!