■相原編2:勝負(★)

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■相原編2:勝負(★)

 なんでこんなことになったんだろう。  心の底からの疑問に答えてくれる人はいない。 「あんっ……ひああっ……ああっ……」  喘ぐ声が止められない。ソファにめいっぱい足をひらいた状態で座る沙和は、その太ももを相原に抱えられ、先ほどからずっと蜜壺に丹念な愛撫を受けていた。一度指でイカされた直後に舌で新たな刺激を与えられては、沙和はもう震えて自分の内側からこみあげる熱を、声をあげて逃すことしかできない。  声を我慢しないという制約を、気にしていたのは最初だけだった。  相原と暮らし始めて何度も体を重ねているが、今日の相原の愛撫は執拗で丁寧だ。沙和の反応をいちいち確かめながら胸をなぶり、性感帯をあぶり出そうとするかのようにいたるところに印をつけられていく。  そんなことをされては、勝負なんてなくてももう声を出すことを我慢できなかった。沙和は甲高い声をあげて、相原の行動すべてに翻弄されている。 「もっ……無理っ……やだ……ああんっ」 「……まだだよ」  じゅるっと音をたてて沙和から溢れるものを吸い上げると、相原は次に花芽を舌でつつく。散々敏感になっているそこは、ちょっとした刺激で沙和の腰を跳ねさせた。 「やっぱり……この声を奴に聞かせるのはもったいないな」  緩急をつけて花芽を舌でころがしながら、相原は感動したような面持ちで呟く。その間も沙和はひっきりなしに喘ぐだけだ。快感が止まらない。なんならいっそイってしまいたいくらいだった。  自然と腰を擦り付けるように動かしてしまう。止めたいけれど止められず、どうしていいのかわからない。そんな沙和に相原は優しく笑いかけ、太ももから腕を外した。だらりと力なくソファにおろした足を一度撫でられ、その直後に相原は膣に指を二本入れてきた。 「すごく熱い……それに、またソファに溢れてる……」  相原はあくまでも冷静に確認しているが、沙和としてはたまったものじゃない。羞恥に顔を真っ赤にして「明日っ……ふくから……」と息もたえだえに言った。以前にソファでセックスした際にも似たようなことがあり、翌日必死に綺麗にした記憶が蘇る。 「そんなに気にしなくていい」 「ふああんっ……あいっ……はらっ……」 「ああ……そろそろいれてほしいか?」  相原の指がぐっと奥に押し入ってきて、沙和は一際高く声をあげた。その指が中でうごめいて、階段を駆け上がるように快感がせり上がってくる。けれどそこから弾けるほどまでの強い刺激を受けられず、沙和の下腹部はずっと疼くばかりだ。 (早く……ほしい……)  相原のもので、中をかき回してほしい。  指では物足りなくなってきていて、腰の動きがだんだんと強い意志をもったものに変わってくる。  沙和はそっと手を伸ばして、相原の頬に触れた。そこから首筋をなぞると、じっとりと汗ばんでいる。 「相原……お願い……」  潤んだ視界の向こうで、相原の口元が弧を描く。指を沙和の中にいれたまま覆いかぶさるように沙和を抱きしめると「欲しいなら……そう言って」と耳元で相原は囁いた。 「んあっ……ほ……欲しいっ……」  オウム返しのように上ずった声で答えると、相原は無言で指を抜いた。異物感が失われ、寂しそうに沙和の膣が一度収縮する。けれどその後に訪れる楔を待ち構えるように、こぽりと愛液が溢れた。 (なんで……こんなに……)  もう自分のことが自分でよくわからない。  相原とこんな関係を望んでいるわけではない。画像で脅されているような状態で、好きだなんて思えるわけがない。  沙和の理性はいつだってそう言っているのに、セックスが始まると途端にその心を体が裏切って、喜んでしまう。  あの最初の夜が嘘だったのではないかと思うくらいに、相原はいつだって沙和を優しく抱くから。  普段の澄ました顔からは想像もつかないような、懇切丁寧と言えるくらいの愛撫が、もしかしたら一番彼からの愛情を伝えているからかもしれない。   (もうよくわからない……ただ、今は……)  楽にしてほしい。  沙和は避妊具をつけた相原を両腕でかき抱いて引き寄せた。相原は沙和の背中に腕をまわし、しっかりと抱きしめながら「反対になるよ」と沙和に声をかける。そうして相原はソファに腰掛けると、その上に乗るよう沙和に促した。 「そのまま、望月がいれて」 「……ん……」  対面座位の姿勢にはまだ慣れない。沙和はすっかり反り立っている相原の怒張にそっと触れると、自分の蜜壺を押し付けるように腰を落とす。ただ、いつも着地点が合わなくて、今日もどこかずれた感覚がする。 (あれ……どこ……?)
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