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「まぁ、あたしが名演技してあげる」
「なに、名演技って」
「臣は咲を彼女として扱ってよ。あたしはそれを寂しそうに見るから」
「そんなんでいいのかよ、アイツを騙せるのか?」
「あの子、あたしの変化に敏感だから。すぐに聞いてくるよ。そしたら、浮気に繋がるような話をしてあげる」
「おぉ……」
ここまで双葉が協力的になってくれるとは思ってもなかった。
双葉も双葉で咲になにか感じていたものがあったのかもしれねーな。
「あれ!?ふたり、先についてんだ!」
そこに入ってきた明るい声は俺の彼女ものだ。
「咲、久しぶりだな」
「うん!昨日ワクワクして眠れなかったから今日は眠いよー」
「はは、そんなに楽しみにしてくれてたんだ」
俺の隣の席に腰をかけて、ニコニコと笑いかけてくる咲。
だけど、俺は知っている。
昨日の夜は諒といたくせに、眠いってそういうことか……と隣でニコニコしている咲をみて悲しくなってくる。
咲の薬指にはちゃんと俺があげた指輪がついているのに、全然気持ちは晴れない。
あぁ、俺ってこんなに咲のことが好きだったんだっけ。
会えば憎しみがわいて、色んなことを口走ってしまったらどうしよう……とか思っていたけど、そんなことなかった。
ムカつくけど、会えたらやっぱり好きだって思うんだ。
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