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でも、俺は今日咲とこの先も付き合うために来たわけじゃない。
こんな関係を終わらせるために来たんだ。
付き合っているのに隠し事のある関係なんてしてて辛いだけだし、諒がいいなら諒のところに行けばいい。
ただ、ムカつくからそれは知らないフリをして俺は双葉と浮気をしたフリをするんだ。
「臣、おかえりー」
「おー、貴志」
ヒラヒラーっと手を振りながらやってきたのは俺の幼なじみの貴志。
貴志がいつもいくお店の店員が咲でそれが出会い。
「なぁ、昨日の話マジなわけ?」
「あー、うん……」
「なになにー?」
「なんでもねぇよ。咲には関係ない」
「むーっ!隠し事するのー?」
「……っ、付き合ってるからってなんでも話すのとは違うだろ」
自分のほうがおおきな隠し事をしてるくせに、こうやって言ってくる咲には正直腹が立った。
「なにそれ、せっかく久しぶりに会ったのになんでそんなに喧嘩腰なわけ?」
「別にそんなんじゃねーよ」
「じゃあ、普通にしてよ。あたし楽しみにしてたんだから」
「悪かったよ……ご「あー!諒来た!」
まだ付き合ってるわけだし……と思って、咲の頭を撫でようとした俺の手は空ぶった。
咲が諒に駆け寄っていったのだ。
「なんだよ、隠すつもりもねーのか」
なんか惨めになって来たし。
「双葉、ん」
俺は双葉に手を差し出した。
「え?」
「手、繋ごう」
「え、あ。うん……」
双葉は怪訝な顔をしながらも俺の手に自分の手を重ねた。
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