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「なんかこれ、俺どうしたらいいわけー?」
「普通にしとけ。普通に」
オロオロしている貴志の頭をポンっと叩く。
「えー、なんで双葉が臣と手繋いでるのー?」
「別にいいだろ、別に」
「よくないよー、浮気だよー!」
「そうだよ、浮気だよ。悪いか?」
「……へ?」
堂々と言いきった俺に唖然とする咲。
「言わないつもりだったけど、うまくいかねーな」
「計画が丸つぶれだよ、臣」
「こーいうの黙ってんの性にあわねー。俺、双葉と付き合ってんだよ、咲」
「な、な、な……咲だけだって言ってたくせに」
目に涙を溜めていく咲。
「人の心なんて簡単に変わるんだよ。ずっとなんてその時は思ってもな」
本当は咲の涙を拭ってやりたい、頭を撫でて「嘘だよ、咲だけだよ」って抱きしめてやりたい。
でも、俺はそこまで心が広くないから。
「……てか、咲だってあんなに嫌がってた諒と仲良さげじゃん」
「いや、たまたまバイトが一緒になって仲良くなっただけで……」
「ぶはっ!お前のバイト先知ってんだもんそれたまたまじゃねーだろ。うける」
前までの咲ならきっとバイト先で働き出したことだって気持ち悪がって報告してきたはずだ。
それをしなかったてことは、咲の気持ちはもう動いてたんだろ。
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