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「このメンバーで遊ぶのも悪趣味だし、解散しよーぜ」
俺は手を繋いだまま双葉と歩き出す。
咲のことを見てしまうと好きだって思って去れない気がしたから見なかった。
「いいの?これじゃあまるであんたが悪者じゃん」
「いいんだよ。俺が悪くて別れたって噂になったら咲が気まずい思いしなくて済むだろ。双葉のことも俺が無理やりってあとで言っておくから。ごめんな、こんな役回りさせて」
「バカな男。悪者になることなんてないのに」
「ムカつくけど、やっぱり咲を悪者にはできねーんだよなー」
諒どのことを知って腹が立って、文句の一つでもいってやろうとしたけど、やっぱり好きで。
咲のように電話で話しただけで心を持っていかれる経験なんてしたことがなかった。
いままで何度も恋をしてきたし、彼女だっていたけどそのどれとも違う感情だった。
だからいくらムカついても咲のことを好きじゃなくなるなんてありえないと思うんだ。
「追いかけてくるかもよ?」
「追いかけてきたら計画実行だな」
双葉のある一言から俺に決心させたある計画。
咲が追いかけて来た場合のこともちゃーんと考えてある。
「ま、待って!」
バタバタッと走ってくる音がきこえて、離そうとした手を慌ててもう一度繋ぐ。
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