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「なんだよ、咲」
「やだ、これで終わりなんていやだよ。臣」
「無理だよ、もう。俺は双葉といるって決めたんだよ」
双葉と繋いでいる手を咲に見せつける。
「いやだ、いやだったらいやだ!」
そう言って咲は声を上げて泣き始めた。
「おい、泣くなって……」
咲の涙に弱い俺は、気がついたら双葉と繋いでいた手を離して咲に駆け寄っていた。
「臣が好き!好きなのぉ!!」
「お前がそんなふうに取り乱すの珍しいな……」
「だってこの世で一番好きな人が離れていくのに冷静でなんていられるわけないじゃない!」
「はいはい、わかったから1回落ち着け」
ポンポンっと咲の頭を撫でるとそのまま咲がだきついてくる。
「咲は、俺より諒のほうがいいんじゃないのか?」
「え?」
「最近、俺に内緒で会ってるらしいじゃん」
「たしかに、臣と全然会えないくていつも好きだって言ってくれる諒に惹かれていたところはあったけど……」
「うん」
「諒と付き合ってる感じにも最近はなってた」
「うん」
「でもやっぱり臣がいい、会えなくたっていいから臣じゃないと嫌だ!」
「俺だってお前がいいよ。お前しか好きじゃねぇ」
咲の本音に触れて、気がついたら本心が口から出ていた。
「え?双葉は……?」
「咲が諒と付き合ってるって聞いて別れるために、浮気してるフリを頼んだんだ」
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