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「……っ、マジかよ、ありえねぇっつーの!」
俺はいまスマホの画面をみてワナワナと手を震わせている。
最近彼女の動向が少しおかしいとは思っていた。
遠距離な俺たちは毎日決まった時間に電話をしていて、その日にあったことを話すのが日課になっていた。
それなのに、最近その日課の時間に電話に出ないことが多くなっていた。
初めは疲れてたのかな……とか、気にしないようにしていたけど、こうも重なるとやっぱり気になってしまうもので。
──咲、最近諒とよくご飯行ってるみたいだよ。付き合ってるって言ってた。
彼女の幼なじみに探りを入れてみたところこの返事。
諒といえば咲のことを好きなのは有名な話で、咲だって「ストーカーみたいで嫌だ」とか言ってたのに。
いまや一緒にご飯を食べに行っているなんて、知らなかった。
『なぁ。双葉、咲と諒のことは知らないふりするからさ……双葉が俺の浮気相手のフリしてくれる?』
俺のこの言葉から始まった、双葉を巻き込んだ復讐レース。
双葉は咲の幼なじみで、咲の好きな人はみんな双葉のことを好きになっていたとか咲から聞いたことがある。
「俺は咲が好きだから安心してね」なーんて言ってた俺が双葉のことを好きになって浮気しているなんて知ったら、それこそ大ショックだろう。
俺を先に裏切った恨みは俺が自分で晴らす。
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