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"傷を治すって、お前そんなことできるの?"
セサクは肝臓の上をトコトコ歩いて、ある場所で立ち止まり、そこに手を触れた。何の音も、何の匂いも、何も起きていないのにセサクが手を着いた部分が綺麗な色に戻っていく。
そしてまた、次の場所に手を着き同じように綺麗な色に戻していく。
「すごい、本当に修復してる」
「清水先生、これって何が……」
「ごめん、中村さん、僕にもわからない。セサクの力なんだろうけれど」
次々と肝臓を修復していくセサク。その時、気づいてしまった。
少しずつ、本当に少しずつの変化だったから、ここまで気づかなかった。
"セサク、お前、小さくなってないか?"
僕の右手から出てきた時に比べると、もう半分くらいの大きさになっていた。
"まだ、大丈夫。この子を助けたいんでしょ"
そう言って、また肝臓に手を着ける。その度に、小さな体がより一層小さくなっていく。
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