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僕はすかさず駆け寄り、意識の有無を確認する。
「聞こえるか、目は開けられるか」
男の子からの反応はないが、苦しそうではあるが呼吸は確認できた。頭部を動かさないように慎重に上着を捲ると、右の肋骨の下部に内出血があり、腹部が膨隆してきている。
自転車のバックハンドルで突いたのか?
肝臓破裂かもしれない。
僕は救急車を呼び、勤務先の病院に男の子を搬送した。救急車の中で緊急手術になるかもしれないと病院に伝え、小林先生と中村さんを手術室に召集するように依頼をしておいた。
CTの結果、外傷性の中心性肝破裂。外惻区域にも損傷があり、緊急に手術を要する状態だった。
「今から緊急手術を行います。患者さんのご家族に連絡して同意を取って下さい。患者を手術室に運んで下さい。執刀は僕がします。剪刀なんかは左用を用意しておいて下さい」
今の時刻は16:20
昨日の手術が終わり、彼らが寝たのが17:42。
後、1時間半弱は5人は目覚めない。
僕が、僕が切らないと。
手術着に着替え、キャップ、マスク、グローブを着用する。
小林先生が麻酔の具合、バイタルサインを報告してくる。
手術名をコールし、手術を始める。
中村さんがメスを渡してくる。僕は左手にメスを握った。
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