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"セサク、もういい、後は僕がやるから、消えちゃうよ、お前が消えちゃうよ"
それでもやめないセサク。そしていよいよ、肉眼ではセサクの姿を見ることが叶わなくなっていた。
「バイタル安定してきたわ」
小林先生が男の子が危機を脱したことを僕に知らせる。でも、それは僕じゃない、セサクがやったんだ。セサクが命をかけて……
"安心して和平。セサクは大丈夫だから"
頭の中にタックの声が響く。
"消えそうだったけれど、私が細胞に協力をしてもらって、何とか形を保ててるから大丈夫よ"
"ボイス"
じゃ、じゃあ、
"セサクは助かるのか?"
"助かるに決まってるでしょ。私たちを誰だと思ってんの"
"ヒア"
"さあ、そのお前の無器用な左手じゃなく、僕たちの優秀な右手に利き手を代えようか"
"プレシ"
ふと時計を見ると、17:43。
24時間経ったんだ。
「いつもの清水先生の手術セット持ってきて」
中村さんが外回りの看護師さんに指示を出す。
そこから僕の利き手は右手となり、いつものように"神の手"のような巧みな技術で男の子の命を救うべく、動き出した。
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