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"よし、プレシ頼むぞ、ブレるなよ"
"おいおい、バカにするなよ。僕が1回でもブレた事があったか?"
ちょっと生意気に応える彼は、プレシ。僕の右手の神経を支配している。彼の精密機械のようなコントロールで、狙った場所からまったくブレずに僕はメスを入れる事ができるんだ。彼、と言うようにキリッとした切れ長の目にいかにも神経質そうな顔立ちをしている男の子?だ。
もうひとり、術部をウロウロと所在なさげに歩き回っているひとまわり小さいのがセサク。手術の最中、いつもこうやって歩き回っている。そして、いつの間にかいなくなっているんだ。いまだに、どんな能力をもっているのかわからない。何せ彼らが僕の右手に住み込み始めてから、セサクとは1度も会話をしていない。と言うより、セサクが話してくれないんだ。
でも、他の4人はセサクをとても大切にしている。だからきっと、僕の気づかないところで役に立ってくれているんだろうな。
「よし、終了だ」
僕のいつもの言葉でこの手術も無事に終わった。
時刻は17:42。
"今日はもう手術の予定はないから、みんな休んでいいよ。お疲れ様"
そういうと彼らは、グローブを物ともせず、僕の右手に溶けるように入っていく。
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