1 手術は絶対に失敗しないんだ

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僕は事故に巻き込まれて、右手を大火傷してしまった。火に包まれた右手を見て、ああ、僕はもう医者にはなれないかもって思ったんだ。ずっと、外科医になる事が夢だったから、どん底に突き落とされた感じだったよ。 だけど、数週間後には僕の右手は多少のケロイドは残ったものの、元どおりに動くまでに回復した。 主治医はビックリしていたけれど、僕はもっとビックリしたよ。治った事じゃなくて、"治していた彼らの存在"にビックリしたんだけれどね。 "そこに細胞集めた方が良くないか" 夜中に頭の中に彼らの声が聞こえてきて、ふと目を覚まして右手を見たら、包帯の中をもぞもぞ何かが動いてたんだ。 「うわっ、何、何」 ビックリしたったらないよ。知らないうちに、マゴットセラピーでもされたのかと思ったよ。 "あっ、見つかっちゃった" 脳内に聞こえる声。なんだろう、すごく非現実的でにわかに信じがたい出来事なんだけれど、素直に受け入れられたんだ。まあ、後から聞いたら、ボイスが僕の細胞に事前に事情を話して、理解させていたかららしいけれど。
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