カウントの条件

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カウントの条件

林立する高層ビルのどん底を、大量の人間が移動している。大きなスクランブル交差点。僕はさっきまであの中に居た。駅を出て、そのまま巻き込まれるようにこちら側に渡ってきてしまった。行きたいのはあちら側なのに……その事に舌打ちをし、来た方を振り返る。するとそこは、さっきとは様子が違っていた。 交差点の真ん中に少女が座っている。黒い作業着で、パイプ椅子に腰掛け、カウンターのような物を膝に乗せている。交通量調査だろうか。それにしたって、あんな所では危ないし通行の邪魔になりはしないか。けれど僕以外の誰も気にしていないようだった。 好奇心も手伝って、僕は少女の元へ向かった。驚いた表情で僕を見上げ、彼女は呟く。「あなたに私が見えるなんて意外です」そして細い指でカウンターを押した。その瞬間、僕の首から血が噴き出した。さっき殺した恋人と同じように。「人は見かけによりませんね」悲鳴の中、そう言って少女は消えた。
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