秘め事は薄闇の中に

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 夜の町を、黒装束に身を包んだ人影が走る。  警備隊の笛から遠ざかるように角を曲がり、石畳を駆けあがって、さらに高く舞う。  見下ろす先に見えるのは、月の光に映える銀髪の男性。  それを目にしながら、ノクスは――シャリーマは囁く。  ――ごめんなさい、旦那さま  軽業師のような身のこなしで、高い壁を、屋根を跳ぶ姿を追いながら、アレスタシオンは誓う。  もうあんなふうに、天から落下する姿は見たくない。  だから、自分がどこまでも追いかけよう。すぐに助け出せるように。  己の姿を偽っているメイドと、己の心を隠している主。  二人は、昼と夜の顔を使い分けながら、今日も何食わぬ顔をして暮らしている。  仮面が剥がれるその日まで。
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