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入院六日目 (術後二日目)
背中と肋骨、お腹の痛みで鬱々とした夜が明けました。
朝の検温で看護士さんに、朝の回診でイケメン先生に、
「困ってること……三つ……。お腹のゴロゴロ、肋骨、咳。特に肋骨」
と訴えました。
「多いですね」
と苦笑しつつ、イケメン先生、痛み止めを手元に置いておけるように手配してくれ、念のため、腹部レントゲン検査の即時予約も入れてくれました。感謝です。
……ただね?
「じゃあこれ持って地下レントゲン室行って来てください~」
看護士さん、にこやかに仰いますが……地下!? 行って来てください!?
ここ、フロアでも一番奥の部屋なんですよ!
エレベーターホールまで歩いて、エレベーター乗って、地下でまた歩いて……鬼か!?
仕方ないので、臨月の妊婦さんのようにお腹を手で支えつつ、ゆっくりゆっくり歩きました。
残念ながら点滴は予定通り前日夕方に外れたので……点滴台はありません。
据え置きになっていた点滴の針も、朝になんとかおならを少し出せたため、無事、抜針となっています。針だけあるの痛いからね……まぁ、良かったんだと思います。
レントゲン室のおじさまが一番優しかったな。
こういう患者を見慣れてる看護士さんや先生って、何というか、心配してくれる視点がビミョーに違うから。
さてこの日。元々の予定で大きなモノが一つ、ありました。
術後初のシャワーです。
レントゲン室から戻って来ると、シャワー割り当て時間の書かれたカードが置かれていました。
15時~15時半。
でもわたし、お腹にまだ大きな絆創膏四枚あるけど……普通に行ってイイのかな?
今日も今日とて、病棟は忙しそうです。
同室でも、わたしの入院前から居た方が一人と、緊急手術だった方が退院され、さらに別の緊急手術の方が入って来ました。
病室的にはマイナス1名で三人部屋となりましたが、看護士さんの出入りを見るに、余裕は全くなさそうです。
昼食後……普段なら検温に来る看護士さんが来ない。
なのに迫り来るシャワーの時間。
ということで、初めてしました、ナースコール。
「シャワー割り当て30分前なんですが、入ってもイイんですか?」と。
案の定よっぽど忙しかったんでしょう。
看護士さんは慌てて、
「すみません、お昼の検温遅くなりました!」
と走って来ました。
毎度恒例、検温して血圧計って……お腹の音も聞いてもらいます。
「大丈夫かな~」
ついに、大きな絆創膏が剥がされました。
初めて見るお腹の傷口。
大きなガーゼ絆創膏の下の傷口には、小さなサージカルテープが何本も何本も貼られています。でも、テープは半透明。
テープ越しに、赤紫の傷口がプクッと腫れているのが見えました。
「うん、キレイだね。シャワーはこのままどうぞ。テープは剥がさないでね~。泡立てて、この上から洗ってイイから」
……そうなんだ?
割り当て15分前。無事に出されたゴーサインに、喜び半分、諦め半分の気分です。
だって……シャワー室遠いんだもん!
エレベーターホールのさらに向こう……。
狭い脱衣スペースで、狭いシャワー……。わたし、肋骨痛抱えて、これ割り当ての30分内で頑張れるかな……。
ハァ。
結果的には。頑張りました、なんとかかんとか。
でも、ムチャクチャ、疲れました。疲労困憊。
今夜は眠るかもしれません。あはははは。
ちなみに今の大病院はどこもそうなのでしょうか。
看護士さんが定時検温に来る際、こちらの病院は必ず端末を抱えて来ます。台車に乗せてゴロゴロ、ゴロゴロ。
だから、近づいて来るとすぐわかる。
しかも一人検温終えるたび、カチャカチャカルテ入力タイム。次のヒトの電子カルテをマウスでクリクリクリクリ……。
管理上は正しいのだろうと思いますが。
時間かかりますね、電子カルテでの患者管理。
そういえば。
今更ながら気になって聞いてみました、入院時のPCR検査結果。
「陽性以外は連絡ナイんですよ~。だからマイナスです~。陽性なら当日夕方には大騒ぎです~」
とのことでした。
一応……気になりますよね。入院に向けて、厳重体制を家族にも強いて来たし。
温度差あるなぁ……。しみじみ感じた出来事でした。
この日の優秀アイテムは、2つ。
一つ目は腹巻きです。
傷口のテープがパンツのゴムに擦れて取れないように。持参の腹巻きを巻いてみたらイイ感じでカバーできました。
もう一つは、実は、看護士さんにお借りしました。
夜寝る前、ガスは少しずつ出せるようになって来たものの、お腹のゴロゴロと張り感は改善せず。
喉の違和感と咳も悪化するばかり。
そんな時に巡回に来た看護士さんが、
「もしメントールの匂い嫌いでなければ、イイのがあるんですが……」
お願いしてみたところ、温めたタオルでした。ビニール袋に入れられた、かなりメントール臭強めの。
「でもこれで、お腹の症状が改善するヒト多いんです」
と言われれば、使ってみたい。ぜひにでも。
ホント、匂いがきついので、タオルで巻いてお腹にあてて、布団をその上からがっつりかけて。
ポカポカのメントール、ホントにぐっすり寝られました。咳も対して気にならず、術後初の熟睡ナイトです。
自分の手持ちアイテム達も優秀ですが、たまにはお言葉に甘えてみるものですね。
なんだかんだで、餅は餅屋。プロのオススメは確実でした。
なお、恒例の安定衝撃クッキング。
今日はまだお粥のためか、おかずもわりと地味でした。
ただ……夕飯時、コロッケ焼きとかいう、マッシュポテトを丸めただけの不思議料理の横に……衝撃のお知らせがありました。
火・水・木の昼と夜は、お粥とか制限食なんかじゃない、通常食のヒト限定で、メニューが選べるんだそうです。
ま、肉か魚か、の二択ですが。
既に今日は水曜日。そして今日でお粥は終わり。
明日はわたし、選べるんです!
初めて! そして最後! なぜなら、日曜日午前に退院だから!
明日のお昼の選択肢…豚カツor白身魚の餡掛け。
明日の夕飯の選択肢…鶏の麹焼きorイカ焼き。
迷いなくどちらもお肉にマルを付けて出したのは、もはや不可抗力だと思います。
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