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柚希「ちーちゃん!俺、仕事終わったから行くね!」
知弦「本当ですか?なら見せてください。」
柚希「もう!ほんとだよぉ!」
ちーちゃんに声をかけてから出て行こうとしたら、提出してからじゃないと駄目らしい。面倒くさ。今週分終わってるっての。ほんの少しだけイライラが募る。あー駄目だ。こんなんじゃ"僕"を守れない。感情を抑えなきゃと思い、ゆっくりと目を閉じる。すぅーはぁー、と何回か深呼吸を繰り返してから、目を開けた。スイッチを切り替えてから知弦に向かう。
柚希「はい、これ今週分だからぁ~」
知弦「……完璧ですね。行ってきて良いですよ。」
柚希「ん。じゃあねぇ。」
バタンッ
重厚そうな扉を閉めて、人気が無さそうな場所へ向かう。あぁ、さっき少し口調崩れちゃった。スイッチ入れるとこうなるんだよなぁ。まぁ気づいて無さそうだしいっか。とりあえず、いつもの場所に行こう。いつも"ぼく"と話すとこに。いつもの場所に着いた途端、"ぼく"が口を開いた。いや、実際には見えてないから分からないけど。俺には口を開いたように感じたんだ。
『ねぇーゆずきー!そろそろ話してもいいでしょー?』
『ぼくゆずきの為に待っててあげたの!偉いでしょ?』
えっへんと胸を張っている"ぼく"の姿が容易に想像出来る。ここ(中庭の木の上)には誰もいない。だから、声を出して会話してもバレないか。まぁ頭の中で会話しようと思えば出来るけど、面倒臭いんだよなぁ。発作酷くなるし。長引くのは迷惑かけるからな。そう考えていたら、少し拗ねたような声が聞こえてきた。
『ねぇー!はーやーくー!』
「待たせてごめんね。何話そっか?」
『あのね、あのね!ゆずきはどっか行っちゃう?ゆずきも離れていっちゃう?』
「大丈夫だよ。俺は離れてかない。ずっと一緒だよ。」
『良かったっ!ゆずきにとってぼくが1番だもんね!』
「うん。1番だから安心して?」
『えへへっ!良かった!ゆず、だいすき、』
「俺もだいすきだよ、」
「ゆずと。」
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