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……また来たのか。
俺は大きなため息を吐いて、ローテーブルに冷やし中華とビールを置く。そして女に近づくと……その柔らかな頬を思い切り引っ張った。
「いひゃいひゃい! なにすんにゃよ!」
「二度と来るなと言ったよな?」
「らってぇえ!!」
「だって、じゃないだろ」
頬を離すと、女――ライアは不服げな顔をする。
そして赤く腫れた頬をさすりながら俺を睨んだ。
――この女は、サキュバスだ。
男の精気をエロいことをすることで搾取し、それを糧とする悪魔。それが俺の部屋に居た。
気はたしかかと思われそうだが、事実なんだから仕方ない。
こいつはある夜、なにもない空間から突然現れ――
『私はサキュバスのライア! さぁ、お前の精気をよこせ』
なんて偉そうな口調で言った。
俺は……そんなライアをスルーして手元のカップ麺を食べた。
こういう女は好みではないし、麺が伸びるのも嫌だったのだ。
そして麺をすすりながらいつ通報するかと思案していると、ライアの目がカップ麺に釘付けになっていることに気づいた。その物欲しそうな視線があまりにもうるさかったので半分分けてやったら、ライアはたびたび家に来るようになったのだ。
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