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◇ ◆ ◇
「楽器吹きながら寝るとか、特技通り越して尊敬だわ!」
「普通、楽器吹きながらとかムリっしょ! 集中力なさすぎじゃない?」
それは麻里菜が中一の時。麻里菜は吹奏楽部でクラリネットを吹いていた。
しかし、突然耐えきれないほどの眠気に襲われ、怖い先生の授業でも楽器を吹きながらでも寝てしまうというものに翻弄されていた。
「麻里菜ちゃん、しっかり起きてやって」
隣に座る先輩に起こされる始末。
「す、すみません」
寝てはいけないことは、もちろん分かっている。部活が終わった後も、宿題を済ませて、なるべく早く寝るようにはしている。が、日に日に悪化していると麻里菜自身も感じていた。
中二になり、麻里菜はオーディションを勝ち抜いて、コンクールメンバーに選ばれた。クラリネットパートで二年生が出るのは、麻里菜だけだった。
同級生は、そんな麻里菜をよく思わなかった。
「寝てるくせにメンバーとか、意味分かんないんだけど」
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